EBSDの説明
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電子後方散乱(EBSD)パターンにおける Kikuchi バンドの中心線は、回折面が蛍光体スクリーン(または直接電子検出器センサー)と交差する位置に対応しています。したがって、それぞれの Kikuchi バンドは、それを形成する回折結晶面のミラー指数で指数化できます。Kikuchi バンドの交点は、結晶中のゾーン軸に対応します。
このパターンは、蛍光体スクリーン上の電子の回折した円錐の心射図法です。電子の回折した円錐の半角は、(90 - θ)°です。EBSD の場合、この角度が大きいため、Kikuchi バンドは直線に近似します。例えば、20 keV 電子の波長は 0.00859 nm、アルミニウムの(111)面の間隔は 0.233 nm、円錐半角は 88.9度です。
パターン中心付近の Kikuchi バンドの幅 w は、次式で得られます。
式中の、 l はサンプルからスクリーンまでの距離、前述同様に、nは整数、λは電子の波長、dは回折面の間隔、θは電子の回折面への入射角です。d 間隔が広い面からは、狭い面より薄い Kikuchi バンドが得られます。回折パターンはサンプルの結晶構造と結合しているため、結晶方位が変化すると、結果として得られる回折パターンも変化します。したがって、Kikuchi バンドを利用して、ビームがサンプルと相互作用するポイントにおいて、回折結晶の方向を計算でき、これがほとんどすべての自動パターンインデックスの基礎となっています。結晶の格子方位と回折パターンの関係を球面回折パターンシミュレーションでグラフィカルに表現したのが、以下の画像および続くアニメーションです。
立体構造の異なる配向により発生する球状の回折パターン。
このアニメーションは、面心立方結晶の結晶方位と回折パターンのシミュレーションの関係を示しています。結晶が回転すると、回折パターンが移動します。(シミュレーションの回折パターンは、水平に対して70度傾けたサンプルのパターンで、結晶方位はサンプルに対して垂直方向に見ています)。